オゾンとは
3つの酸素原子(O)からなる酸素分子(O2)の同素体で、分子式O3で表記されます。
大気中に微量ですが、存在する気体分子です。
また、オゾンは独特の青臭い臭気からギリシャ語の「OZEIN(臭う)」が語源とも言われています。
オゾンの特徴
オゾンは、結合エネルギーが弱いという特徴があります。
「結合エネルギーが弱い」ということは、すぐにオゾンO3から酸素分子O2と酸素原子Oに分解してしまうということを意味します。
ここで分解された酸素原子は非常に強い酸化力を持ち、洗浄・殺菌・脱臭などに利用されます。
※オゾンO3の結合エネルギー102KJ/mol
オゾンの分解方法
- 熱分解法…オゾンガスを300℃以上の雰囲気内で1~3秒以上滞留させることにより分解することが可能です。
- 薬液洗浄法…水中のPH値が大きいほどオゾン分解速度は速くなります。高濃度アルカリ水溶液の中では、速やかにオゾンは分解されます。
- 活性炭法…活性炭を用いてオゾンを吸着分解する方法です。比較的低濃度のオゾン処理の際に用いられます。消耗されると微粉化が進みます。
- 触媒法…触媒を使用し、オゾンの自己分解反応の活性化エネルギーを低下させると、低温でのオゾン分解が可能になります。触媒は二酸化マンガンが良く使用されます。
オゾンの人体への影響
一般的に、空気中にはオゾンが存在し、そのオゾン濃度は 0.01~0.05ppm 程度です。
オゾンの臭気を感じる濃度は、0.01~0.02ppm。
実際に人体に悪影響が出始めるのは、0.5~2ppm と言われています。
オゾン濃度がこれ以上高くなると、人体に対する影響は深刻になります。 日本・アメリカ・イギリス・ドイツなど多くの国では、 仕事場でのオゾンの推奨許容値を平均 0.1ppm 以下としています。
日本産業衛生学会
許容濃度:0.1ppm
労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に暴露される場合に、
当該有害物質の平均曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんどすべての労働者に健康上の悪い影響がみられないと判断される濃度。
オゾンの生体に対する影響
オゾン濃度[ppm] | 人体への作用 |
---|---|
0.01~0.02 | 多少の臭気を感じる |
0.1 | 明らかな臭気があり、鼻や喉に刺激を感じる |
0.2~0.6 | 3~6時間の曝露で視覚低下の症状が出る |
0.5 | 明らかに上部気道に刺激を感じる |
1~2 | 2時間の曝露で頭痛、胸部痛、上部気道の渇きと咳が起こり、曝露を繰り返せば慢性中毒になる |
5~10 | 脈拍増加、体痛、麻酔症状が現れ、曝露が長ければ肺水腫を招く |
15~30 | 小動物は2時間以内に死亡する |
50 | 人間は1時間で生命が危険な状態となる |
出典「オゾン処理報告書」 日本水道協会 昭和59年8月 40頁より